どんな未来だとしても

時は2019年 この指止まれ

田中贔屓の長い長いひとりごと

2020年12月2日水曜日22時13分

もう、この日を絶対忘れないと思う。それくらい大事な時間だった。たった数分でもかけがえのない時間だった。今でも現実だったと信じられない光景、

 

KAT-TUNSixTONESKAT-TUNの「Keep the faith」でコラボレーションした。

田中樹が、”JOKER”こと兄・田中聖のラップをカバー披露した。大型歌番組で。

 

かっこいいとか、エモいとか、感動とか、そんな並大抵の感想で片付くはずがない。私がSixTONES担で、そしてKAT-TUN担だから、じゃない。「JOKERラップ」と「KAT-TUN田中聖」に未練たらたらの田中贔屓だから。

 

 

元はと言えば、私はKAT-TUN田中聖を好きにならなければ、SixTONESを好きになっていないくらい。身内にも友人にもジャニヲタがいない環境で十何年過ごしてきたなか、急転直下でKAT-TUNを好きになってたった数年しか経っていない。過去の話をずるずる引きずるのは、歴長だからじゃなく、”間に合わなかった”歴浅だから。本当に、ジャニヲタ自体も短すぎる人間のひとりごとなので、そこはご勘弁いただきたい。

 

 

 

「ジャニーズの勉強をちょっとしたいんだけど、おすすめのグループと曲ない?」と当時の所属界隈での友人たちに、Twitterで募集をかけるくらい本当にジャニーズに詳しくなかった。自分より1~2歳年上の友人たちに「KAT-TUNかっこいいよ!リアフェとキプフェあたり聞きなよ!」と勧められなければ、本当に今の私はいないのではないか、と思ったりする。単純に私たち世代でもデビュー当時のKAT-TUNの爆発力とかっこよさは記憶されていたからだし、私が当時推していたグループも所謂「黒が似合うオラオラ系」だったから、KAT-TUNも好きそうって思われたのだろうか~…。

 

聴き始めてすぐに思ったのが「ラップ超かっこいい」だった。当時私がイメージしていたジャニーズらしからぬ派手なロックサウンドに加えてHIP-HOP要素のラップも織り込まれているのが新鮮で。リリックもかっこいいし、ラップしてる本人ももちろんかっこよくてもうどっぷりハマった。

 

ちょっとずつ勉強して、カラオケでリアフェのラップやってルンルンしてたら、「ラップまでやる人は初めて見た」と言われたり。「手越くんと、もうやめちゃったけど田中聖くん好きなんだよね」って言ったら2人とも今までの好みとは全く違う方向すぎて「どうしたの?!」って親友に心配される始末。ひどいな。

 

でもそれからすぐに聖がお縄になった。結構なショックだった。

その年のBEST ARTISTで、中丸くんが❝今人気のジャニーズJr. 2グループ❞を引き連れてKAT-TUNの曲をパフォーマンスすることになった。当時のKAT-TUNはまだ充電期間中で、メインが中丸くんだけでも見たいと思って楽しみにしてた。パフォーマンス前にジャニーズJr.たちとのリハ映像も流れていたけど、あまり興味はなかった。SixTONESSnow Manというグループは、その日初めて知った。

とにかく当時は音源集めたりNEWSとKAT-TUNが出演する音楽番組を見るだけで満足で、相も変わらず友人にジャニヲタは0だし、というか思い切り受験シーズンで得る情報があまりにも少なかった。

 

ただ、最後にスノスト一人ずつ中丸くんの横に出てくるところで「田中樹」という名前が映ったこと、中丸くんがそっと彼の肩を抱き寄せたこと、でなんとなく脳内で点と点が結びついた気がした。そういえば、聖の弟もジャニーズに入ってたよな…。

 

それからSixTONESを好きになるのにはまた時間を要するのだけど

 

 

SixTONESKAT-TUNの曲をたくさんやってること、樹がJOKERラップをそのままやっていること。知った時は本当にびっくりしたし、感動したし、「見たい」って思った。

 

聖がKAT-TUNを脱退したのは2013年で、もうとっくに何年も経っていた。私は6人時代どころか、充電期間入る前にすら、間に合わなかった。何にも間に合わなかった。好きになるのが遅すぎた。それは今でも「10年早く生まれてKAT-TUNと聖を応援したかった」と変わらず思っていること。

なかでも一番の未練と後悔が「JOKERラップを 生で 聞きたかった」こと。もうきっと叶わない。待ちわびた再始動、3人のKAT-TUNもReal Faceは#2名義で書き換えられたラップで音源化され、披露していった。書き換えてないものはラップ部分だけ削るパフォーマンス尺になっていた。決してそれを悪く言おうとも、否定しようとも思っていない、3人のパフォーマンスも最高にかっこいい。たっちゃんのラップも彼らしくてかっこいい。変わらず彼らはKAT-TUNだ。

ようやくリアルタイムでパフォーマンスを見れた、生で会えた、でも私が好きな部分にはぽっかり穴が開いていた。今でもたまに、ふと感じてしまうことがある。

 

本人たちはやらない選択をしていた。だからきっと、やっとリアルタイムで応援できるようになったけど、今後3人のKAT-TUNがJOKERラップと関わることはほぼないに等しいな、と諦めていた頃。丁度SixTONESのことをようやく調べだして、パフォーマンスを見始めた。そこで樹がそのまま兄ちゃんのラップをカバーしていた。

そうか、本人たちはやらなくても、Jr.たちはまだやってくれるんだ。その気づきで、もうSixTONESと田中樹は、聖に未練しかない私にとってものすごく大きな光だった。

 

きっかけは全てKAT-TUNが絡んでいたとはいえ、それからしっかりSixTONES自身を好きになって本格的に応援するようになっていった。

もうとにかく楽しかった。過去のライブ映像でも少クラでもたくさんKAT-TUNの曲をラップつきでやってくれる。好きなグループが好きなグループの曲をカバーしてる事実も嬉しかった。カバーしてるのがSixTONESで、ラップをするのが樹で、私が間に合わなかったKAT-TUNの6人ではないけど、それでもよかった。今現在、JOKERラップをやってるパフォーマンスをこの目で見れることが嬉しかった。

同じ年にHiHi JetsもCHANGE UR WORLDをそのままやってくれていた。ちゃんとJOKERラップは残っている、クレジットが出なくても、大っぴらに彼の名前を出せなくても、後輩たちに受け継がれている。本当に嬉しかった。

 

でもそれからすぐに現状を思いさらされることになった。

1つはデビューの文字がちらつき始めたこと。Youtubeプロモで一気にSixTONESの名前が知れ渡り、SixTONESだけが2都市、更に追加され3都市で公演をするというチェンエラも発表、もうデビューはすぐそこだと誰もが思っていた。私も3都市全てついていくくらいに本気なっていた。でも「デビュー=先輩の曲をカバーをする機会はほぼなくなる」ということでもあり、少し寂しかった。覚悟はしないとは頭のどこかで思いながらオーラスは記憶に焼き付けることに必死だった。

 

2つ目のきっかけは、チェンエラが何事もなく終わってしまい、なぜか兄組の中でSixTONESだけ呼ばれなかったたまアリ公演のレポ。

「Real Faceがついに#2になった」

目を疑った。#2になった、という判断がされるのはリアフェをラップ付きでやった、ということ。でも書き換えられた方だということ。一気に恐怖が襲った。音源化もされたことだし、本家が#2に移行しきったから?もうJr.でもJOKERラップやってくれないの?でもきっとこの公演にSixTONESがいたら、樹は原曲の方でやってくれたに違いない、きっとそうだ…と。信じたかった。あれから公演でリアフェをやる機会がSixTONESにもなかったから、わからないけど。

その頃、ラップ部分が刷新されていたのは勿論リアフェだけじゃない。色んな曲で書き換えやカットがされてパフォーマンスされていた。今現在でもカバーはしてくれてもラップ削った尺でやるJr.グループもいくつかある。

 

多分丁度この頃、Twitterでぶつぶつ呟いてたと思う。JOKERラップが失われていくのが怖いと。SixTONESがデビューしたら、どこが昔のコアな曲をやってくれるのだろうか。樹がデビューしたら、JOKERラップはもう誰もやってくれないのだろうか。

もちろんそれだけを求めてSixTONESを好きになった訳じゃない、SixTONESにはデビューしてもっと大きくなって欲しい。でも、デビューした後のことを考えたら寂しさと虚無感でいっぱいだった。

 

他にももう一つ気がかりがあった。聖のことで樹はデビューできないんじゃないかと、前々から騒がれていたことだけど、ついにここまで登りつめて。いざデビューできて、また聖のことで色々言われてしまうのではないか。勝手な心配も付きまとうようになった。

 

8・8祭りが発表された。タイトルからどこかがデビューすることは明らかで、おそらくSixTONESだろうと贔屓目なしに思っていた。なんとなく無理して会場入らなくてもいいかなと思って家で大人しく見ていたのは、今思えば正解だった。

ターバン巻いてピアスバチバチの樹の姿に引くほどむせび泣いていた。聖を意識しているようにしか見えなかった。そしてどことなく腹くくってる雰囲気に、デビューするんだね、って発表前から確信していた。でなきゃ、あの格好をしてくる説明が自分の中でもつかなかった。

案の定、SixTONESのデビューが発表された。ツアーも決まった。

 

聖を意識しているような格好と、やってやるという強い意志が表れつつ、少しだけ泣きそうな樹の表情に、ジャニーズの田中でやっていく新たな覚悟を見れた気がして、私も腹決めなきゃと思わされた。

ご縁もあり、無事にラフストもトーンインパクトも複数公演ずつ見届けることができた。この2ツアーとも、たくさんKAT-TUNの曲をやってくれた。懐かしい選曲から、新たな選曲まで。どれもJOKERラップをしっかりやってくれた。

今年は樹にたくさん感謝して、私も寂しがるのは卒業しようと努めた年だった。

 

 

デビューしたSixTONESに残されたカバーの機会は、カウコンや大型歌番組のシャッフル企画くらい。一発目のチャンスが例年よりは数か月遅れて、11月25日のBEST ARTISTだった。この時、SixTONESはReal Faceには選ばれなかった。

 

なのに、その発表に安心した自分がいた。まだデビュー年だし、身内だけの少クラやカウコンとは訳が違う。樹がまた標的になってしまいかねないのなら、やらない方がいい。いざチャンスが巡ってきたと思ったら怖気づいて。あれだけ寂しがって泣いていた自分が、回避したことに安堵していた。不思議で仕方なかったけどやはり恐怖が勝っていた。

 

ベスア放送後、翌週のFNSではNEWS・KAT-TUN・King&Prince・SixTONESの4組が2組ずつでコラボするという。2回目のチャンスがすぐに巡ってきた、しかもコラボレーションなんて、ベスアのカバー以上に大変なこと。コラボレーションって、一緒に歌うことですよね??(しっかりして)そして放送まで組み合わせも楽曲もわからない?勘弁してくれころす気か。とノリノリに楽しくて、少し怖かった。

 

 

いざ本番。映った途端、照明が暗すぎて衣装が黒すぎてカツストでしかなかった。しかもキプフェ。JOKERラップある曲、どうしよう。いやでも中丸くんのボイパで切………らずに田中樹でてきてラップ突入。たっちゃん参入。聴き馴染みのリリック。本家、JOKERの、田中聖の、ラップだった。

 

 

 

 

夢かな……

 

 

私のお節介な心配など全く必要なかった。大型歌番組だろうがなんだろうが、樹はやる気しかなかった、本気でやりに来てた。

それは田中樹自身と、SixTONESとしての絶対的な自信と覚悟と、そしてKAT-TUNと聖へのリスペクトに溢れていた。今までと同じように。終わった後に「ラップした直後だったので~」とはにかみながら話す姿はとても嬉しそうだった。中丸くんとONE ON ONEをコラボした時と同じ顔をしていた。

樹はとっくに覚悟は決まってたしとても強い人だと、前から確信してたけど、それでも胸に迫るものがあった。何度も心無い言葉をかけられながらも、ここまで折れずに立ち続けてきた田中樹は誰よりも強い。田中聖の弟としてじゃない、SixTONESの田中樹として、堂々とこのステージに、KAT-TUNと同じステージに立った。

 

例えはっきり言葉には出さなくても、KAT-TUNの3人も樹のことを暖かく見守ってくれているのは見ててもわかる。

 

その善し悪しは別として、聖だけは自分の積極的な意思で脱退していない。とはいえ脱退した経緯は決して褒められたものではない。聖に非があったから結果的には辞めることになってしまった。その後も問題を起こしているのも本人が悪かっただろう。

でも優しく人に寄り添うことができる姿も、笑った時のくしゃくしゃの笑顔も、最後の一人になってもKAT-TUNでいるという グループへの愛も、守りたい気持ちも、ここに書ききれない聖の素敵なところ全部嘘じゃないと信じてるから。それが聖のありのままだと、きっとその真偽を本人以外でいちばんわかっているのは、KAT-TUNのみんなだから。そして家族だから。

 

3人から樹への眼差しには、樹自身を自分たちの弟のようにみてくれてる気持ちは勿論、その背景には聖への決してマイナスではない想いを感じて、涙が止まらない。

樹も、兄の名前が付きまとうのを厭わず進み続けている。ずっとその背中を押していってあげたい。SixTONES担でもある私にできることは、それくらいじゃないか。

 

 

何も間に合わなかった私は過去の事実を拾えるだけ拾い集めて知ることしかできない。偏った見方になってしまっているかもれない。それでも、間に合わなかったけど、世間ではまだマイナスイメージかもしれなくても、私の選択は間違っていなかった。

 

なんて改めて思える数分だった、たった数分、されど数分。

私の中で大きな区切りをつけさせてくれたと思う。

 

KAT-TUNSixTONESのファンでよかった。